なんで、こんな話をしているかというと、50年ほども前にこのような構造が、折り紙に関係するものとして世の中に出ていたことについ最近気づいたから。
僕が50年近く前に折り紙に触れるきっかけとなったのは、小学生の頃に創作折り紙の世界的第一人者である吉澤章さん(もちろん当時はそんなことは知らない)の刊行冊子「折り紙通信(創刊時はOT通信)」を見たからなんだけど、久しぶりにあの頃の素朴な作品を折ってみようとPDF化しておいたコピーを眺めてたら、特集記事と思われるページに下記のような写真が載っていた。
吉澤章による絞り構造(掲載号の記録無し) |
残念なことに、原本を紙コピーしたものを更にスキャンしてPDF化しているので画質が劣化しまくりだが、平面から襞構造が渦巻き状に折り出されていることが判るだろう。記事を読んでいくと、どうやら創作折り紙で考えていた幾何学構造が、当時、液化ガスを運搬する構造物の補強形状としても考案されており、中にはイギリスで出された特許でも同じようなものがあるとのこと。それが下の写真。
吉澤章によるイギリスの特許構造 |
「いやいや、ほぼ○○ローズやん」ってことでさらに記事を読んでいくと、なんと国内での特許公開番号が書かれていた。特許情報プラットフォームで「1964-018893」で検索すれば誰でも閲覧できる。
特公昭39-018893,第3図 |
さすがに、上記写真や特許のように、金属板を完全に鋭角に曲げてしまっては材料が破損してしまい、構造的に成立しないが、ここから発展した平板からの絞り構造は、実際に当時の三菱重工業建造のタンカーで採用されていたらしい。
せっかくなんで、上の特許の構造を折ってみたので、展開図とそのバリエーションを載せておく。
特公昭39-018893を折り紙で再現。完全には折りきっていない |
特公昭39-018893の展開図 |
特公昭39-018893の構造パターン |
特公昭39-018893構造パターンの展開図 |
書いてるうちにだんだん思い出してきたんだけど、確かに子供の頃こういう記事も読んでた。でも、当時の僕にとっては「幾何学的パターンの創作折り紙」なんてのはまったくチンプンカンプンだったし、興味もなかったんだけどね。まさか半世紀ぶりに読んだ折り紙の本の中に、最先端宇宙工学の芽を見るなんて思いもしなかったよ。
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