2020年7月18日土曜日

吉澤章作品より (千羽鶴折形紹介):Pick up from YOSHIZAWA Akira works (Introduce Folding of Thousand Cranes)

吉澤さん自身の作品ではないが、「OT通信 7月 創刊号」の最後を飾る第五弾として、「千羽鶴折形」から「呉竹」「龍膽車」を紹介する。

Wikipediaの「秘傳千羽鶴折形」(2020/7/18現在)では、
千羽鶴折形は近年までその存在が忘れ去られていたが、1957年9月に吉澤章が国際折紙研究会の機関紙「O・T通信」で発表し、更に同年の『週刊朝日』の書評欄で紹介されたことにより、一般の人にも広く知られることとなった。
と解説されており(*)、吉澤さんの功績の一つとすることに異論はないであろう。


呉竹(くれたけ)

膽車(りんどうぐるま)


呉竹の小さいほうの鶴が尾とくちばしで繋がっているように見えるのは写真の撮り方のせい。羽先同士などカドの先で繋がっているので折りの途中で千切れてしまわないように注意が必要。いかさまっぽいけど僕は細く切ったセロハンテープで裏側から補強した。仕上げ前に展開した状態からの工程も載せておく。

呉竹・展開状態

呉竹・途中,異形の生命体みたい

呉竹・仕上げ前,このままでもいい感じ


膽車の「龍膽」は旧字体で、現在は「竜胆」と表記されている。こちらは、羽のふち全体で繋がっているので、折りの途中で千切れてしまう心配は少ないが、その分個々の鶴同士の拘束が強いので折り進めるほど難しくなる。
下の展開状態で、個々の鶴のくちばしは中央のカドに集中している。こちらについては折り途中の写真は撮っていないが、まず首をすべて折り込んでから、全体の形を完成形の状態に変形しつつ尾を折り返すとうまくいくようだ。




(*)Wikipediaでは「O・T通信」と「・」区切りで表記されてるけど、僕が実際に見た原本では「OT通信」と表記されていた。それはそれとして、いまさらながらだけど同誌は国際折紙研究会の機関紙だったんだね。確かに、海外での展示会の報告とかよく掲載されてた。あの原本って今でも叔父の家にあるのかなぁ。

OT通信 7月 創刊号,吉澤章



2020年7月12日日曜日

吉澤章作品より (バッタ):Pick up from YOSHIZAWA Akira works (Grasshopper)

吉澤章さん創刊「OT通信 7月 創刊号」より第四弾。実質的なものを含めて三角形用紙で始まった創刊号で初の四辺形から折る作品だ。といっても今度は菱形なんだけど。


バッタ,創作:吉澤章

正方形の4辺を対角線に合わせて裏表同色の菱形を作る

菱形からの折り筋は6本というシンプルな作品


厳密には脚の付け根にフチ線が出るので、裏表同色の菱形からこの作品と全く同じものは折れない。もちろん同じバッタで複雑系の諸作品も素敵だし、いつか挑戦したいと思ってるんだけど、こういう見立てで納得させてしまう作品もいいね。



2020年7月5日日曜日

吉澤章作品より (雁):Pick up from YOSHIZAWA Akira works (Geese)

吉澤章さん創刊「OT通信 7月 創刊号」より第三弾。第一弾のセミは裏表同色にするため正方形を対角線で二つ折りにして直角二等辺三角形にしていたが、本作は正真正銘の直角二等辺三角形の紙から折る。

というわけで、雁のV字編隊(四羽だけど)飛行をどうぞ。

雁,創作:吉澤章

四羽編隊

近接撮影

飛び去る


もちろん浮いてるわけじゃなくて画像処理で吊り紐を消したんだけど、4羽折るより特撮の方がよっぽど時間かかってしまった。

裁縫用のかがり糸をつける

渡海先生呼んできてー

仰角と吊り高さを同時に調整する機構

円谷先生、僕頑張ったよ


創刊号の最初の三作品が奇しくも三角形(一作目は実質だが)を基本形にしているというのが面白いね。いや、四作目はもっとすごいんだけど、それはまた次回に。



2020年6月27日土曜日

吉澤章作品より (白鳥):Pick up from YOSHIZAWA Akira works (Swan)

吉澤章さん創刊「OT通信 7月 創刊号」より第二弾。第一弾のセミは実質直角二等辺三角形から成る作品だが、本作はいずれも正三角形の紙から折る。

というわけで、白鳥3体をどうぞ。

正三角形の用紙。何か判らんけど和紙

白鳥1,吉澤章

白鳥2,吉澤章

白鳥3,吉澤章

全員集合

うーん、1番目が首の曲がり具合とか一番いい感じ。
形がシンプルなだけに「ぐらい折り」の力量が如実に出ますな。


吉澤章作品より (セミ):Pick up from YOSHIZAWA Akira works (Cicada)

50年ほど前、小学生の頃に叔父の家で目にした冊子が僕の折紙への入り口だったんだが、それが、吉澤章さんが創刊した「OT通信 7月 創刊号」だった。
今はもう、オリジナルの紙コピーをさらにスキャンした電子データしか残っていないが、気が向いたときに少しずつ折ってみようと思う。

というわけで、創刊号の表紙にもなっている最初の掲載作品であるセミを折ってみた。

OT通信 7月 創刊号 表紙,吉澤章

セミ,吉澤章

この作品は裏表同色なら直角二等辺三角形の紙で折れるんだけど、刊行当時はそんな紙は普及してなかったんだろうね。いきなり正方形の紙を対角線で折って、裏表同色の直角二等辺三角形にしている。紙の使用率50%以下という潔い作品。というか、吉澤さんにとってはそんなことはどうでも良くて、紙という素材を使って神羅万象を形作ることのみを考えてたんじゃなかろうか。
現代の折紙理論や、いわゆる不切正方形一枚折りへのこだわりを知ったうえで、50年前に刊行された吉澤さんの冊子を読み返してみると、そんな気がしてならない。



2020年5月7日木曜日

紙:Paper

とにかく、50歳を過ぎてから複雑系・超複雑系などというやっかいなものに手を出してしまったんで、紙のことなんぞ何も知らない。とりあえず普通に売っている折り紙用で一番サイズの大きい35㎝で、いきなり神谷哲史さんの「カブトムシ」に挑戦して爆死してしまったわけだが、そこから色んな紙を試してみた。


下記はだいたい時系列順になってる。


■模造紙・色上質紙
近所の文具店とかで現物確認出来て、できるだけ大きいものということで購入。「薄口」とか書いてるものを選んだが、折紙専用紙と比べるとだいぶ厚い。それでも紙のサイズが大きいので、神谷哲史さんの「フェニックス 3.0」はこれで折れた。翼の両端間で40cmくらいになったけど。


フェニックス 3.0
創作:神谷哲史,用紙:上質紙 60㎝


■薄葉紙
さすがに毎回出来上がりが40㎝サイズになると置き場所にも困るので、簡単に入手できるもので、できる限り薄いものを探して購入した。いやー、薄いね。薄すぎて折れない。コシが無いんでふにゃふにゃしてる。そもそも、バッグとか革靴とか箱詰めする際に商品を包んで表面を保護するためとかに使われるものなので、固いと商品にキズを付けてしまうからね。それでも頑張って神谷哲史さんの「ミノタウロス」は折れた。


ミノタウロス
創作:神谷哲史,用紙:薄葉紙 35㎝

■スイーツの包装紙
ワックスペーパーともちょっと違うと思うんだけど。バレンタインデーに娘がくれたチョコの包み紙が、12㎝の正方形で薄くてコシがあったので、吉澤章さんの「カニ」を折ってみた。いやー、折りやすかったですな。実はまだ7~8枚残してたりする。


カニ
創作:吉澤章,用紙:ワックスペーパー(?) 12㎝


この辺から神谷哲史さんの「龍神 3.5」に本気で取り組む気になって、頭部の部分折りをしながら、ちょっと真面目に紙を探し始める。

 
■和紙
仕事で出かけた先の近くに東急ハンズがあったので、工芸コーナーの店員さんに折りやすそうなものをいくつか見繕ってもらった。残念ながら雁皮紙は置いてなかった。あっても高くて買わなかったと思うけど。美濃紙とか楮紙とかを買って、龍神の頭部を部分折りしてみた。確かにそこそこ折れるんだけど、未処理のままではやはりコシがなく、特に完成した作品は無し。

■薄葉紙+アルミホイル+薄葉紙
カラペにアルミホイルを裏打ちするってのは良くあるみたいだけど、カラペ自体の入手性がいまいちなので、大量にある薄葉紙でアルミホイルをサンドイッチしてみた。試しに龍神の脚を部分折りしてみたら、まあまあ折れるんだけど、ネットとかでよく書かれているように、一度つけた折り筋の山谷を反転させるときは扱いにくいので、沈め折りとかが多いと大変かもしれない。これも特に完成作品はなし。

■薄葉紙(糊引き)
裏打ちの次は糊引きということで、やはり大量にある薄葉紙を糊引きしてみた。半畳サイズのアクリル板(ポリカだったかも),スプレーボトル,フエキ糊,刷毛を購入。アクリル板に薄葉紙を置いて、水をスプレー。フエキ糊を水で溶いて刷毛で塗り、乾いたら一丁上がり。 簡単な割には効果てきめんで、ふにゃふにゃでコシが無かった薄葉紙にパリッと張りが出て大変折りやすい。というわけで、北條高史さんの「仏像」を折ってみた。出来上がりサイズも高さ16㎝とそこそこの大きさだが、光背部分も紙一枚で自立している。

仏像
創作:北條高志,用紙:薄葉紙 50㎝

■クラフト紙
入手性,価格,用紙サイズの豊富さ,薄さ,強度のすべてにおいて僕のお気に入り。色は薄茶色のほぼ一択なので、本番用ではなく練習用,研究用に使われることが多いみたいだけどね。成り行きではあるんだけど、神谷哲史さんの「龍神 3.5」はこれで折った。パッと見が木彫りの置物みたいなのも気に入っている次第。

龍神3.5
創作:神谷哲史,用紙:クラフト紙(50g) 180㎝

 ■ビオトープ
最近始めたTwitterで、折り紙関連のツィートを見ていると、これを使っている方が多く、見た目の質感も良さそうなので、一番大判で薄手のやつを10色ほど紙の専門店でネット購入してみた。値段も一枚あたり100円ちょっとなので、送料の方が高くついたくらい。 折ってみた感じはクラフト紙とよく似ているけど、質感から想像されるように手触りとかはこちらの方が良い。たまたま同じ厚みで比較できたんだけど、強度はクラフト紙の方に軍配が上がる。普通の複雑系(なんだそりゃ)なら問題なく折れそうだし、色も豊富なので本番用にも良さそう。
というわけで、GW(我慢ウィーク)中に神谷哲史さんの「アカウミガメ」を折ってみた。最初に使う紙できっちり仕上げたかったし、基本格子数に合わせて56㎝角で折ったら、出来上がりが手の平サイズになってしまった。

アカウミガメ
創作:神谷哲史,用紙:ビオトープ 56㎝


糊引きいらずで折れる雁皮紙とか、昆虫作品に向いてると噂のカラペとか興味はあるけど、すでに買ってしまった紙が大量にあるので、そっちを先に使っちゃわないとね。


2020年5月1日金曜日

折り紙と特許:Origami and patent

折り紙の工業利用で有名なものに「ミウラ折り」というのがあって、観光マップや人工衛星の太陽電池パネルを瞬時に折り畳んだり展開したりする構造に応用されている。また、同じく太陽電池パネルでいえば、「川崎ローズ」に代表される平面を円筒状に畳み込む構造もよく知られている。

なんで、こんな話をしているかというと、50年ほども前にこのような構造が、折り紙に関係するものとして世の中に出ていたことについ最近気づいたから。

僕が50年近く前に折り紙に触れるきっかけとなったのは、小学生の頃に創作折り紙の世界的第一人者である吉澤章さん(もちろん当時はそんなことは知らない)の刊行冊子「折り紙通信(創刊時はOT通信)」を見たからなんだけど、久しぶりにあの頃の素朴な作品を折ってみようとPDF化しておいたコピーを眺めてたら、特集記事と思われるページに下記のような写真が載っていた。


吉澤章による絞り構造(掲載号の記録無し)

残念なことに、原本を紙コピーしたものを更にスキャンしてPDF化しているので画質が劣化しまくりだが、平面から襞構造が渦巻き状に折り出されていることが判るだろう。記事を読んでいくと、どうやら創作折り紙で考えていた幾何学構造が、当時、液化ガスを運搬する構造物の補強形状としても考案されており、中にはイギリスで出された特許でも同じようなものがあるとのこと。それが下の写真。


吉澤章によるイギリスの特許構造

「いやいや、ほぼ○○ローズやん」ってことでさらに記事を読んでいくと、なんと国内での特許公開番号が書かれていた。特許情報プラットフォームで「1964-018893」で検索すれば誰でも閲覧できる。

特公昭39-018893,第3図

さすがに、上記写真や特許のように、金属板を完全に鋭角に曲げてしまっては材料が破損してしまい、構造的に成立しないが、ここから発展した平板からの絞り構造は、実際に当時の三菱重工業建造のタンカーで採用されていたらしい。

せっかくなんで、上の特許の構造を折ってみたので、展開図とそのバリエーションを載せておく。

特公昭39-018893を折り紙で再現。完全には折りきっていない

特公昭39-018893の展開図

特公昭39-018893の構造パターン

特公昭39-018893構造パターンの展開図

書いてるうちにだんだん思い出してきたんだけど、確かに子供の頃こういう記事も読んでた。でも、当時の僕にとっては「幾何学的パターンの創作折り紙」なんてのはまったくチンプンカンプンだったし、興味もなかったんだけどね。まさか半世紀ぶりに読んだ折り紙の本の中に、最先端宇宙工学の芽を見るなんて思いもしなかったよ。



2020年4月25日土曜日

初めの頃は (フェニックス):In the early days (Phoenix)

複雑系をやり出して初期の頃(と言っても、この記事書いてる時点でまだ2年くらいだが)に折った一つが、神谷哲史さんの「フェニックス3.5」。初めに推奨サイズの50㎝を無視して35㎝角の折紙用紙で挑戦したが、案の定途中で挫折。複雑系は重なった部分をさらに折る構造が多いので、紙をうまく逃がしながら折らないと破れてしまう。
最初の頃は、その辺の塩梅がわからなくて色んな紙をネット通販で買ってた。もちろん、大きくて、薄くて、強いほど折りやすい(というか失敗しにくい)けど、初心者はまずはできるだけ大きい紙から始めた方がよさそうな気がする。
というのも、複雑系は細かな部分を折り出すことが多いので、紙がいくら薄くて丈夫でもミリ幅で折るのは大変。厚めの紙でも大きさが十分にあれば、折り寸法誤差が相対的に小さくなるし、なにしろ指だけで折れるから。

というわけで、思い切って90㎝幅の色付き模造紙を買ってきて再挑戦したのが写真の「フェニックス」。造花用ワイヤーでスタンドを作ってポーズを付けてみた。頭部とか脚のカギ爪とか仕上げが甘いし、実は尻尾の途中が完全に裂けてしまってたりする。なので、写真だけ残して作品自体は捨てちゃったんだけど、近いうちに再々挑戦するつもり。紙のことも多少は判ってきたので、何で折るかを考えるのも面白そう。

フェニックス 3.5
創作:神谷哲史 用紙:模造紙,90㎝×90㎝

「紙は細部に宿る」のさっ。




2020年4月18日土曜日

複雑系折り紙への入り口(バイオリン奏者):Enter the Complex Origami (Violinist)

50歳を過ぎてから複雑系・超複雑系と呼ばれる折り紙に遭遇(*)したわけだけど、その中で最初に折ったのが、北條高史さんの「バイオリン奏者(2003年版)」。僕が神谷哲史さんの龍神3.5に挑戦するきっかけにもなった『神谷流創作折り紙に挑戦!―創作アイデアの玉手箱』に掲載されていた。

本当は、その前に同書に掲載されている同じく神谷さんの「カブトムシ」を先に折り始めたんだけど、いかんせん用意した紙がサイズこそ推奨の35㎝だったものの、厚さが結構あって途中で折れなくなったんで、「カブトムシ」の一つ前に載っていたこの作品にトライした。

それでも、初見では折れなくて2回目でようやく完成できた。オリジナルと比べると、頭はでかいし、弓は短いし、首がやたら長いしで完成度は低いけど、「ジャバラ」の強力さが良く分かる題材だった。

北条さんの他の作品もそうなんだけど、カドが単体で手とか脚の構造になるのはもちろん、複数のカドを組み合わせて部分の構造を作ることが多いと思う(「仏像」とかもそうだよね)。だから、展開図折りだけだと、何のことやらさっぱりわからないことが多くて、にらみ折りが不得意な僕は折り図がないと途方に暮れるばかりなんだよね。

あー「暫」が折りたいよう。

バイオリン奏者(2003年版)
創作:北條高史 用紙:上質紙,35㎝×35㎝

(*) 社会人になってすぐくらいに、ミステリー小説『迷路館の殺人』(綾辻行人/著)の中で前川淳さんの「悪魔」に出会ってる。その後すぐに「悪魔」の折り図が載っている『ビバ!おりがみ』(前川淳/著)を図書館で探して折ったんだけどね。イヤーあの時は「不切正方形一枚でこんなのができるんだ」って驚いたんだけど、それきりで終わったんで。

ってか、そもそも悪魔って伝承なんだよね



2020年4月11日土曜日

龍神3.5 ギャラリー : Ryujin 3.5 Gallery


Gallery of Ryu Zin 3.5

Creator : KAMIYA Satoshi
Folder : Bookman
Paper, Size : Kraft paper(50g/m2), 180cm x 180cm











龍神3.5 全体折り (10) : Ryujin 3.5 Entire fold (10)

ポーズを付けて完成する前に遊んでみた。


龍神の一夜干し
 

第二形態
 
ぼうや~ よいこだ ねんねしな~

 

龍神3.5 全体折り (9) : Ryujin 3.5 Entire fold (9)

完成までもう少し。

上半身側とつなぐ前に、ある程度背びれ部を糊付けしていく。その前に針金を埋め込んでおくのを忘れないように。針金は太いのを1本埋め込むより、細めのものを並べて使う方が、捩じるようなポーズを付けるのがやりやすいかも。写真では判らないが、実は胴体を閉じる前に薄葉紙を内側に詰め込んでいる。こうしておくと、胴体が平べったくならず、ポーズを付けた後もふっくらした形を保つことができる。

背びれを糊付けして閉じている途中。肩部の背びれや尻尾部分は作業中にぶつけて形が崩れやすいので、厚紙などでカバーしておくといい

本来上半身側とつながっている部分はすべてジャバラに折り畳まれて胴体内に隠れてしまう。これが龍神シリーズ作品の大きな仕掛けなんだけど、本当によくもこんなの思いついたもんだと思う。上半身側との接続部が表側の胴体より背びれ2枚分短くなっているが、これは上半身側も同じで、それぞれの胴体が背びれ4枚分で重なることになる。神谷さんは、この重なり合う部分を「一旦開いて重ね合わせて折り直す」って書いてるんだけど、僕はそれを読んだとたんに膝から崩れ落ちそうになったんで、あきらめてそのまま糊付けした。


あのジャバラがどこに行くのかと思ったら、こんな風に胴体で全部包み込まれてしまう

内部に埋め込むジャバラ部の中ほどに、ポーズを付けるために、細めの針金を3本並べて埋め込んでいる。糊付け用に表面に紙を巻き付けている造花用のワイヤーが便利。ジャバラ自体は針金を埋め込む場所などを除き、基本的に糊付けはしないこと。でないとポーズを付けるときに曲がらなくなちゃうよ

頭部のディテールを折り込んだところ。このままでは髭や角などがブワッと膨らんだようになっているので、糊付けしてしっかりと形を整えよう

脚先は太くならないようにほっそりした形に整える。爪も細く仕上げるのが良し。ここをサボると太短い脚になってしまい、カッコ良く仕上がらない

左側が仕上げ前,右側が仕上げ後。右側の方が今にも掴みかかろうとしているような精悍さにあふれて見える

くれぐれも、この状態であきらめないようにね


頭部、脚部等のディテールは出来上がった作品の印象を大きく左右するので、出せる力を全部出し切ろう。余裕があれば、この段階で部分折りの記事も参考にして、練習し直してみるのもいいだろうね。


吉澤章作品より (かめん):Pick up from YOSHIZAWA Akira works (Mask)

 2年半ぶりに 連投。吉澤章さん「折り紙通信」より「かめん」。仮面と言いつつ、これは顔です。僕には吉澤さんご自身の顔に思えるんだけど。 現代折り紙において顔の折り出しに拘っている折紙作家として北條高史さんが真っ先に思い浮かぶけど鼻や口の造形に近いものを感じる。北條さんよりはだいぶ...