2019年6月25日火曜日

龍神3.5 全体折り (4) : Ryujin 3.5 Entire fold (4)

上半身では途中の折りを省略してしまったので、その分下半身でじっくりと各部の折り出しを書いていく。

(ちょっと忙しいので休筆中。年明けくらいから再開しようかね)

(といいつつ、2020年4月5日)

いやー、なかなかきっかけが掴めなかったので、結局新年度が始まってからになってしまったけど、ぼちぼち再開しよう。

下半身を折る戦略としては、部分折りで一番難しいと感じた肩‐脚部から折り出し、その後、胴体鱗部分のジャバラ折り,鱗の折り出し,尾部の折り出し、と進めることにした。


肩‐脚部の折りはじめ。クリップで留めながらジャバラを折っていく



写真の上下方向が胴体の前後方向だが、ジャバラの上下に後ろ脚が一本ずつ配置されている。ここまでの写真は裏側から撮ったもの




肩‐脚部の鱗部の斜め格子折りまで終わったところ。背びれはまだ折り出していない。この写真は表側から撮ったもので、写真の左右方向が胴体の前後方向になっている

背びれを折り出してから、脚部の折り出しに取り掛かる。紙の縁側にある脚(写真下側の方)はまだしも、内側にある脚は周囲も折りたたみながらの作業になるためかなり難しい。脚を折り出す途上で肩部の前後(写真鱗部の左側に注目)でジャバラの数を急激に遷移させなければならないが、ここも難易度が高いので、部分折りしたパーツと見比べながら折り進めると良い


用紙内側の脚の折り出しは特に難易度が高いので、部分折りしたパーツと見比べながら折り進めると良い

脚を二本とも折り出したところ。この時点であれば、裏側に多少なりとも手が回るので、鱗も一枚ずつ折り出しておく


2019年6月23日日曜日

龍神3.5 全体折り (3) : Ryujin 3.5 Entire fold (3)

上半身は頭部から折り始めてグダグダになってしまった(理由は後述)ので、途中の折りは下半身の方で解説するとして、ここでは省略。

上半身を展開図折りで折れるところまで折ると、下の写真のようになる(頭部は仕上げてしまっているけど無視してね)。鱗は沈め折りまではしていないが、1枚ずつ折り出すところまで進めている。ここで注目してほしいのは、胴体が真っすぐではなく背びれ側が膨らむように湾曲していること。

上半身を展開図まで折り進めたところ
鱗を折り出す際のずれにより背びれ側が膨らんでいる


斜め格子の重ね折りで構成された鱗部を1枚ずつの鱗に折り直す際に、微小なずれが発生するが、背びれ側と反対側でずれ具合が異なるために全体的に湾曲してしまう。鱗の両側を沈め折りすると湾曲はさらに大きくなる。胴体を整形するためには背びれ側の長さを反対側に合わせなければならないが、湾曲が大きい場合には鱗部分が凸凹に波打ったようになって見映えが悪くなる。これを回避するためには、斜め格子折りの時点で逆に湾曲するくらいに詰め気味に折っておくか、1枚ずつの鱗を折り出した後に鱗部をずらせるように押さえて折りグセを付けておく。鱗両側の沈め折りをしてしまってからでは修正は難しい。

鱗は下側(尻尾側)から上側(頭側)に向かって折り出していくと折りやすい。これは、鱗の下側は浮き出しているが上側は一つ上の列の鱗の下に潜り込んでおり、上の列の鱗が出来上がってしまっていると作業の自由度が小さくなるため。下の写真では、左側から「斜め格子状に鱗部分を重ね折り」「重ね折りをばらして鱗1枚ずつに分離」「鱗の両側を沈め折りして完成」の状態になっているが、上記の通り、沈め折りまで一度に折るのではなく、まずは全体の重ね折りをばらして鱗1枚ずつに分離しておいてから胴体の湾曲の修正をしておこう。


鱗を折り出す様子。右端は背びれ4枚分で下半身側と重なる

鱗全体を沈め折りまで完成したら、この段階で鱗部の要所を糊付けしておく。僕は胴体全体の湾曲を矯正するために、背びれ部と腹部を糊付けしたけど「腹の蛇腹は隙間空いてる方が好き」という人もいるかもね。


上半身の鱗完成。少し波打っているのが判る

頭-首部の180度反転は、折り方自体はそれほど難しくないが、なにしろ折る部分の厚みが半端ではないので、他の部分を折り進める前に折れそうかどうか確認しておこう。

頭部は上下反転した状態で首部と繋がっている

上下反転の簡略図


赤本の説明を参考にジャバラ部で180度反転させる

ジャバラ部を1回斜め折りするだけで1マス分使っている


理屈通りなら、ジャバラ部の幅と同じ96分割1マス分(正確には2マス分を折り込んで1マスにする)で反転できるが、重ね折りした厚みの影響で3マス分くらいは必要。実際に180度反転した状態を維持するためには反転した重ね折り部分を1枚ずつ丁寧に糊付けする必要があるが、この段階では「反転できそうなこと」と「鱗を巻いて胴体を作るときの頭部との接続部の折り込み方」を確認しておけばよい。


鱗を巻いて胴体を成型してみたところ。背びれ部分を閉じてみてそれなりの形になっていればOK



2019年6月22日土曜日

龍神3.5 全体折り (2) : Ryujin 3.5 Entire fold (2)

さてさて、ここからは本当に本番の全体折りだ。正確には上半身,下半身の半分ずつなんだけど、折りの難易度にはほぼ関係ないので良しとする。

ここまでの記事でも書いたけど、使った紙は両更クラフト紙(50g/m2)の92cm幅ロール紙で、ここから90cm×180cmの用紙を2枚切り出して全体とする。これを、基本となる48×96分割で折り筋を付ける。折り筋をつける時は何枚分かを重ねて折るのではなく、1枚分ずつ正確に折っていこう。


90cm×180cmの用紙を12×24分割まで折ったところ。真ん中に置いているのは見開きにした新聞

48×96の折り筋を付けたら、用紙の裏面に展開図を反転して書き込む。多色のフリクションボールが便利

折り筋を付け終わったところ。表側から見ているので書き込んだ線は見えない


上半身,下半身の2枚に折り筋を付けるだけでも結構大変。もしかしたら「鱗とか同じパターンの繰り返しだし、そもそも最終の折り筋と違うんだから、そんなにきっちり折らなくてもいいんじゃないの」と思うかもしれないが、そういう考えは捨てよう。まあ、超複雑系を折ったことのある人や、鱗の部分折りをきちんと練習した人なら判るとおもうけど。


2019年6月20日木曜日

龍神3.5 全体折り (1) : Ryujin 3.5 Entire fold (1)

部分折りで十分に練習したら、覚悟を決めて本番の全体折りに取り掛かる。僕は両更クラフト紙(50g/m2)の92㎝幅ロールから90㎝×180㎝の用紙を2枚切り出して繋ぎ合わせた。

といっても、最初から1枚に繋いだわけではなくて、胴体の前半分と後ろ半分のそれぞれを折り進め、ある程度小さくなってからジャバラ部分を繋いでいる。専用の作業台があって、その上に折りかけの状態で置きっぱなしにできる環境があれば最初から1枚でやるんだけどね。

神谷さんの赤本では、最低でも1m角,できれば1.5m~2m角 の大きさを推奨しているけど、よほどテクニックがないと50gのクラフト紙で1m角は無理だと思う。

2m角だと、完成品は40cm(W)×30cm(D)×30cm(H)のケースに収まるくらいの大きさになるし、薄茶色のクラフト紙だと一見木彫りのような雰囲気もあって置物としてもいい感じになる。

この半分の大きさ(1m角)だと、手のひらに乗るくらいのサイズになってしまう。龍神という作品の魅力を伝えるには、ある程度の大きさがある方がいいんじゃないかな。

アクリルケースに入れたらこんな感じ
ケースのサイズ:40cm(W)×30cm(D)×30cm(H)


2019年6月16日日曜日

龍神3.5 部分折り 尾部 : Ryujin 3.5 Partial folding Tail

尻尾自体の形を決めるのはもちろんだが、胴体からの遷移部を平面に折り畳める形にするのがちょっと難しかった。尾部については、自分でアレンジしたものができたので、展開図を置いておく。

尾部の展開図。オリジナルの展開図はほぼ縦横の格子だけ

尾部の部分折り完成状態。オリジナルとはちょっと違う


実は、この折り方だと完成写真の右端真ん中のカド部が裏表反転してしまう。今回龍神3.5に挑戦するにあたって妥協した点の一つ。うーん、他の人たちはどうしてるんだろう。


龍神3.5 部分折り 脚部 : Ryujin 3.5 Partial folding Leg

脚部は用紙の縁を使わずに爪となるカドを5つ折り出さなければならないため、比較的難易度が高い。なので、肩部とは独立して部分折りでしっかり練習しておくと良い。

また、脚の爪は丁寧に仕上げることで見映えが段違いに良くなるが、そのためには使用する紙の厚みが重要なファクターになる。脚部の部分折りで自分ならどの程度まで細かく折りあげられるかを確認しておくと良い。僕の感触では、脚部をそれなりに折りあげられれば、頭部のディテールを作り込むのは問題ない。

左側の飛び出た部分が展開図で折り出した脚部

脚部の部分折り。赤本の展開図で折れるのはここまで
(一旦仕上げたのを戻したので、にらみ折りの線が残っている)
 
爪部を細く折り出す

ほぼ仕上げ状態。本番では更に糊付けしながら形を整える


龍神3.5 部分折り 肩部 : Ryujin 3.5 Partial folding Shoulder


肩部は胴体部と違って、鱗部分が閉じた領域の中にあるために、鱗の折り出しが難しい。また、肩部自体が頭部,尾部と異なり、用紙の中央寄りにあり、周囲のジャバラ構造や脚部と合わせて折らないといけないので、龍神3.5の中でも最も難易度が高い部分と言っていいだろう。

なので、肩部については「鱗部と最小限の周辺部を含めた部分折り」「脚部まで含めた部分折り」「胴体部との連結部まで含めた部分折り」の順に進めるのが良い。僕自身は、この3パターンをそれぞれ2~3回くらいやっている。

最小限の肩部部分折り。鱗の斜め格子構造の折り出しと背びれの折り出しをしっかり理解しておく

余裕があれば、本番前には尾部を含む1/4領域で練習しておくといい。頭部は折りは複雑だが、用紙の隅に位置しており、折ること自体の難易度はそれほど高くない。対して、肩部は上述の通り、用紙の中央寄りにあることに加えて、折の複雑な脚部と連結していることや胴体との接続部を96分割幅に急激に遷移させているために、折る作業自体の難易度が非常に高い。そんなのが2か所もあるんだから。

右側の膨らんだ部分から左側と同じような脚を折り出さないといけない


2019年6月15日土曜日

龍神3.5 部分折り 鱗 : Ryujin 3.5 Partial folding Scale


1200枚に及ぶ龍神3.5の鱗を無理やり展開図から直接折ってみた。

結論・・・無理。

ごく狭い領域なら折れるが、本番で全部の鱗を直接折り出すのは常人には不可能なので、赤本で説明されている通り、段階を追って地道に折ろう。神谷さん曰く「龍神の半分は鱗を折る作業でできています」ので。
 
鱗部分だけ赤本から引用。本番の2倍の大きさ

サイズが折る前の半分以下になる。鱗両側が沈め折りになっている

実際に鱗を折るための練習。右端部で96分割ジャバラをさらに192分割にしている

本番で鱗を折り出す際の工程を撮っておいた。上から順に「斜め格子状に鱗部分を重ね折り」「重ね折りをばらして鱗一枚ずつに分離」「鱗の両側を沈め折りして完成」の状態になっているのが判るだろう。
 
写っていない下方は尻尾につながっている。ここの鱗からの遷移も結構ややこしい


2019年6月12日水曜日

龍神3.5 部分折り 頭・首部 : Ryujin 3.5 Partial folding head-neck

ここからは各部の部分折りについて書く。

初見で全体を折るのはまず不可能なので、部分折りでとことん練習しておこう。ということで、まずは頭・首部から。

最初は頭部に接続する鱗4~5列分を含むくらいの正方形部分で練習する。カドの折り出しと頭部から鱗への遷移部分をしっかりと理解しておく。ツノの部分はそこだけの展開図が『神谷流創作折り紙に挑戦!―創作アイデアの玉手箱』(通称赤本)で公開されているので、頭部より先にツノ部分だけの部分折りを練習しておいた方がいいだろう。

頭部の部分折りを始めたところ。ツノの折り出しを含めた頭部全体と鱗への遷移を把握しておく

頭部の部分折りができるようになったら、少し領域を拡げて、頭部を含む1/4領域で部分折りをする。この時にやっておくのは、頭部を180度反転させる際の感触を掴むこと。
 
鱗は内側が見えている。この状態から頭部を180度捩じらないといけない

この状態から
180度反転。捩じった部分のジャバラの数に注目

赤本には180度反転の基本的な手順が解説されてるけど、実際に重ね折りで分厚くなったジャバラ部を折るのはかなりキツイ。部分折りの練習段階でうまく折れないようなら、より薄い紙を入手するか、紙のサイズを大きくすることを考えないと、本番での出来が悪くなるだろう。

僕の場合は、180cm角の両更クラフト紙(50g/m2)で何とかできたが、写真の通り、かなり力技でごまかしている。神谷さんは赤本の中で「最低でも1m角」って言ってるけど、よほど経験を積んでテクニックがある人でないと無理じゃないかな。3m角ぐらいなら折るのはだいぶ楽になるだろうけど、作業できる場所を確保するのは大変だろうね。

というわけで、僕が選んだ紙とサイズは、初めて龍神3.5に挑戦する人にはお勧めできると思うよ。

2019年6月9日日曜日

龍神3.5 必要なもの : Ryujin 3.5 Things necessary

必要というか、自分で使ったものを挙げていく。

■展開図
これがなければ始まらない。ネット上にはいろんな人が自分なりに作った展開図があるけど、ここは創作者の神谷哲史さんに敬意を表して『神谷流創作折り紙に挑戦!―創作アイデアの玉手箱』を購入しよう。

カバー裏に展開図があり、製作上のコツや角(つの)の部分展開図も掲載されている。折図はないけど、頭部の仕上げ図やカド配置など、にらみ折りに役立つ情報を惜しげもなく掲載してくれている。

それ以外にも紙の種類や、糊,定規などの道具類,紙の厚さを逃がす重ね折りのテクニックなどが丁寧に解説されていて、複雑系折り紙に挑戦したい人は買って損はしない。

僕がCADで製図した展開図もあるんだけど、ここでは掲載しないでおく。現状、神谷さんが公開しているのは上記書籍の中だけだからね。

■CADソフト
方眼紙に手書きで展開図を書き写してもいいし、そうしている人も多いけど、オリジナルの展開図を自分なりに解釈して折り線を加えたいときや、部分的に印刷したいときなど、あると絶対便利。なんといっても、部分折りの練習は必須なので、そのためにも是非手に入れよう。

フリーのCADソフトは色々あるけど、僕が使ってるのは「Jw_cad」。面倒なユーザ登録とか不要で汎用2次元CADに必要な機能は一通りそろっている。参考書籍も多数出版されていて、企業で使っているところも多いみたい。

■紙
部分折りで練習するときは、普通のA4コピー用紙に上記CADソフトで印刷すると便利。無理な折り方すると破けちゃうけどね。複雑な折りを練習するときはクラフト紙を使うといい。僕は本番で使った両更クラフトロール紙(50g/m2)をA4に切出して使ってたけど、部分折り練習の時は多少厚くてもいいので、A4サイズの70gくらいのやつを用意しておくといい。

本番用で使ったのは、上記の通り両更クラフトロール紙で、92㎝幅のロールから90㎝×180㎝を2枚切り出して、上半身と下半身に分けて繋いだ。こうすると、継ぎ目部分が最終的に胴体の内側に隠れるので都合がいい。ちなみに龍神3.5の最厚部がこの上半身と下半身を結ぶ96分割ジャバラの重ね折り部なんだけど、50g/m2のクラフト紙だと96枚分の厚みで1㎝くらいになる。

■プリンタ
CADで書いた展開図を印刷する。 印刷直後は印刷部分が湿っているので折り線をつけやすい。

■フリクションボール(多色)
とてもじゃないけど、折り筋だけで展開図を本番用の紙に写して折りあげるのは、よほど経験を積んでいないと無理なので、展開図を反転させて紙の裏側に書き込む。折図では谷折りと山折りを破線と一点鎖線で表現するが、手書きでこれをやると死ぬので線の色で区別する。ここで、赤色の入っている多色のフリクションボールが活躍する。書き間違えても簡単に消せるし、消しゴムみたいに紙を削らないので紙が傷みにくいというわけ。

■ピンセット,塑像用へら(丸棒)
ピンセットは細かい部分の折りに必須。先端が細くエッジが真っすぐなものが使いやすい。鱗を折るときは2本使うこともある。

沈め折りで折り線の山谷を反転させる時にも使うけど、ピンセットで力を入れすぎると紙が破れることがある。しっかり力を入れたい時は先端が丸い棒状の道具が良い。僕は塑像用に使う樹脂製の丸棒へらを使っている。

上:ピンセット(直),中:ピンセット(曲),下:塑像用へら(丸棒)

■糊,ボンド
一般に超複雑系のレベルになると、紙を折っただけでは狙いの形に仕上げることはできないので、要所で糊付けにより形を整えることが必要。乾くと無色になり、経年劣化や変色が無い「でんぷん糊」(フエキのりとか)が最も適しているが、速乾性が無いので、部位によって木工用ボンドなどと使い分けるとよい。

真ん中は左のフエキのりに付いていたへら

■つまようじ,へら
つまようじは細かい個所の糊付けに使う。面積の広い個所はへらを使えばムラなく塗りやすい。フエキのりについている小さいへらが大きさが丁度良くて重宝している。

■クリップ,紙ばさみ
ジャバラなど折りの途中の部分をたばねておいたり、糊付け個所を押さえたりする。紙を痛めるのが気になるなら木製のものもある。

■画用紙
肩の部分の背びれや尾びれは作業中にへたりやすいので、画用紙で挟んでクリップで固定しておくといい。

こんな感じ

■造花用ワイヤー
針金の周りに紙を巻いたもの。作品にポーズをつけるために、折りの途中で作品内に埋め込む。紙を巻いているので、糊,ボンドで作品に接着しやすい。太いワイヤー1本よりも、細めのワイヤー数本を平らに並べて使うとねじりのポーズもつけやすい。

これを4~5本並べて作品の要所に埋め込む

■カッター,直定規,分度器,カッティングボード
なんだかんだで紙はそのままでは使えない。直定規は1mのものもあるけど、一気に1mの線を引いたりカッターで切るのはそれなりに技量がいるので、使いこなすのは難しい。50㎝と30㎝くらいが最初は使いやすい。分度器は22.5度分割等に便利だが、あまり小さいのを使うと角度誤差が大きくなるので注意。


ここに書いたものは、だいたいネット通販で手に入るし、DIYショップ(コーナンとか)や大型文具店(東急ハンズとか)でも売っている。全部が必要ではないけど、あると作業性は格段に良くなるのでお勧めする。

龍神3.5 : Ryujin 3.5


創作:神谷哲史 用紙:両更クラフト紙(50g/m2),180㎝×180㎝


いきなりの龍神3.5だ。まあ、これが折りたくて折紙界に戻ってきたくらいなんで完成記念に。細部はオリジナルとは違うし粗さが目立つけど、肩部と胴体の接続部の段差も小さく、結構自然な形に仕上がったので、自分的には大満足の出来。

先人達が公開してくれている動画等(*)を参考に、部分折りで頭-首部,鱗,肩-脚部,尻尾の構造を繰り返し確認。それから練習のつもりで、鱗の沈め折りは無しで全体を折りだしたんだけど、途中から「こりゃ当分2回目は無理だ」と思い、本番に切り替えて何とか初回で完成。紙の厚さが最大の敵で、頭‐首部の180度反転と肩‐胴体部の90度捻りが最難関だった。だって、蛇腹折りしたら最厚部で1㎝くらいになるんだもんね。

和紙を糊引きして使うのがいいんだろうけど(実は、楮紙とかフエキのりとか刷毛とかも買ってはいた)、入手コスト,薄さと強度のバランスの点では最適解だったと思う。

鱗のついた龍を1枚で折るなんて…… ま、まさか……こんなことが物理的に可能なのか」「こんなの折れるわけない」とか「頭だけでも大変なのに」と思っているそこのあなた。

折れるよ!・・・折れない心があれば・・・・・ヲレルヨ!!


(*) 2020.4.29追記
私的利用以外の目的(Webメディア等での公開も含む)で、こういう情報を公開することは、著作権の問題をはらんでいますし、少なくとも創作者が表明している利用条件は最大限尊重すべきと考えます。
一方で、これらの情報無しに筆者が本作品を折ることはできなかったでしょう。
もとより、創作者の著作権の侵害を推奨する意図はありませんが、筆者の折り手としての技量のほどを明らかにする上でも、上記文面については削除,変更は行わないものとしました。
また、他の記事については、著作権の侵害や創作者の意思に反して公開された情報の参照を意図するような表現を削除しました。


折紙について色々と : Various things about ORIGAMI


物心ついた時から折紙を折っていた記憶がある。

叔父が折紙の定期購読雑誌の会員で「OT通信 創刊号 7月」という小冊子や「折り紙読本 あそびから創作まで」という冊子があって、こちらは「昭和三十二年四月十五日 三版発行」とある。

自分が生まれる7年前に発行されたもので、当時ですら擦り切れ、へたっていたけど、夏休みに叔父の家(親父の郷里)に遊びにいくたびに、熱心に読んでいたのであろう。小学生の頃には叔父が持っていたものを全部もらっていたようだ。長らく手元に置いていたが、大学生の頃に隠居した叔父から「久しぶりに折紙でもしたいから持ってきてくれ」と言われたので、コピーを取って返却した。

数年前に自分や家族のプリント写真を電子化した時に、それらのコピーもPDF化した。その時に「そういや昔は良く折ってたよな」と思って見返してみて目に留まったのが「不切正方形一枚折」のカニ。昔のアルバムを見返したら、10才のときに120㎝角の紙で折ってた。ハサミが2本と足が8本あり、おまけに目も2つ飛び出ていて、結構「複雑系」なのだが、折り返してみようと思うほどではなかった。折図を追いかけていけば頭の中で折れてしまうので、挑戦意欲が湧かなかったというわけ。

で、「いままで折ったことのないような難しそうなのはないものか」と検索してみたら、出るわ出るわ、ヤバそうなやつが。山のように。

ってわけで、50を過ぎたおっさんが40年以上の時を経て折紙界に舞い戻ったので、その辺をつらつらと書き連ねてみる。

ちなみに、冒頭で書いた折紙雑誌の発行者が、日本の創作折り紙の第一人者「吉澤章」先生だったってことを知ったのも最近のことなんだけど、その作品を折り始めたのが50年ほども前のことだと思うと、なんか不思議な感じがするね。

折り紙通信創刊号,吉澤章
カニ完成図,吉澤章
上のカニを折り始めたところ。
残念ながら完成写真は行方不明。
出来が悪くて撮らなかったのか


娘が父の日のプレゼントでくれたスイーツの包み紙が薄くていい感じだったので折ってみた。12㎝角でちょうど上の写真の紙の1/10のサイズだけど、それなりに折れてしまったのでUpしとく。やっぱり、紙の厚みは折りやすさをかなり左右するね。

12㎝角の薄紙で折ったカニ

ハサミは割れてないけど足が8本目が2つ


吉澤章作品より (かめん):Pick up from YOSHIZAWA Akira works (Mask)

 2年半ぶりに 連投。吉澤章さん「折り紙通信」より「かめん」。仮面と言いつつ、これは顔です。僕には吉澤さんご自身の顔に思えるんだけど。 現代折り紙において顔の折り出しに拘っている折紙作家として北條高史さんが真っ先に思い浮かぶけど鼻や口の造形に近いものを感じる。北條さんよりはだいぶ...