2020年4月5日日曜日

龍神3.5 全体折り (8) : Ryujin 3.5 Entire fold (8)

紙の厚みとの戦いの一つである肩‐脚部の90度捻りについて解説する。展開図通りに肩‐脚部を折り出した時点では、同部は2本の脚が胴体の前後方向に平行になっているため、これを90度捩じらなければならない。肩‐脚部と胴体側の間には96分割格子で1マス分の高さしかなくて、それ以上に重なり合った紙の厚さが半端じゃない。でも、ここで手を抜くと、出来上がった時の肩‐脚部と胴体の合わせ目が不自然になってしまうので、できるだけ丁寧に折り進めよう。


肩‐脚部と胴体との間には96分割格子で1マス分の高さの接続部があるが、見ての通り40枚以上重なった紙を折らなければいけない。 この部分を

こんな風に90度捩じるわけだ

厚みを逃がすために接続部を半分に分けて、それぞれが重なり合わないようにしている。神谷さんの赤本38ページをヒントにしたので、持っている人は確認してみよう
 
胴体側を閉じた状態。反対側の背びれとの接続部が横倒しになっているが、最終的に整形すると肩部と胴体の段差が小さくなり、見映え的には良くなった。色んな方がこの作品を完成されているが、この部分の出来栄えには苦労された様子が伺える



龍神3.5の展開図も載っている『神谷流創作折り紙に挑戦!―創作アイデアの玉手箱』を持っている人はP.38~39のテクニックを参考にするといいよ。



龍神3.5 全体折り (7) : Ryujin 3.5 Entire fold (7)

神谷さん曰く「龍神を折る作業の半分を占める」という鱗の折り出しに入る。鱗の折り出しは、斜め格子から鱗1枚分の正方形要素に折り直し、さらに正方形要素の角部を沈め折りすることで鱗の細かい形を折り出す。
鱗部は細かな要素が少しずつ重なりながら配置されているため、折線通りに折っても胴体の前後方向に伸びが生じる。そのため、鱗の折り出しは最終的な形まで一気に折り出すのではなく、鱗部全体を正方形要素に折り直した時点で胴体前後方向の長さを確認した方が良い。この時、胴体長さが実際よりもやや短めになっているくらいが望ましい。鱗を完全に折り出してしまうと修正が難しいので注意しよう。
上記の作業は胴体の後方から前方に向かって進めること。部分折りの記事でも書いた通り、逆方向で折り進めると作業の自由度が低くなるよ。

鱗は胴体後方から前方に向かって折り出す。写真では比較のために最後部4列の鱗を沈め折りまで完了しているが、残りの鱗はまず写真上側の斜め格子から中央部の正方形要素に折り直す

下半身全体の鱗を折り出して沈め折りまで完了した状態。この時点で背びれも折り出し、糊付けしておく。鱗の折り出しの際に少し胴体が長くなってしまい、完全に修正できなかったため、背びれを糊付けして長さを調整した状態では鱗がやや波打っている。ちなみに、肩部の背びれは垂直に立ち上がっており、作業中に色んな所にぶつけてヘタリそうだったので、厚紙で作ったガードで保護している

背びれ,腹部の蛇腹4列分は上半身側と重なり合うため、この部分の鱗は完全に折り出す必要はない。ただし、斜め格子のままだと厚みが大きく、重ね合わせが部が不自然になりそうな気がしたので、正方形要素に折り直した上で、各要素の重なりを工夫して厚みを抑えた。また、重なり合う部分の背びれは内側に折り込んでいる


龍神3.5 全体折り (6) : Ryujin 3.5 Entire fold (6)

胴体鱗部のジャバラ折りをもう一段階進める。本来は下図の部分折り写真のように胴体部の全体を折り直すんだけど、この次の斜め格子折りの段階でこのジャバラは解体されるため、本番では写真右側の内部構造との遷移部のみ折り直すことにした。



胴体ジャバラの部分折りを練習したもの。本番では写真右側の内部構造との遷移部のみを折り直したが、その前に部分折りで十分に練習して、斜め格子折りまでの手順を確認しておこう

内部構造との接続部のジャバラを折り直したところ

内部構造との接続部はこんな感じ。右端は尻尾になる部分なので細かいジャバラ折りはしない

更に進めて、鱗を折り出す一歩手前の斜め格子まで折り進める。斜め格子を折り出すためには鱗5列分くらいを一度に折り直していかなければならない。画面下側の背びれ部は紙の縁にあたるため折りの自由度が高いが、反対側の内部構造との接続部は自由度が低く、丁寧な作業が必要になる。尻尾の折り出しもこの段階で完了する。

斜め格子の折り出しの途中。V字型に折り込まれて、腹の蛇腹部分が後方に出張ったようになっているが、更に逆V字型に折り込むことで左側のような斜め格子ができあがる

斜め格子と尾部を折り出したところ。中央の部分折りパーツは尾部の折り畳み方を検討した時のもの。オリジナルとは違う畳み方になっているが、一応、完全に平面内に折りこんでいる

【追記】
Twitterで龍神3.5に挑戦中の方が、鱗の斜め格子を別の方法で折ってた。というか、その方の折り方の方が自然だと思うんだけど。僕は上の手順で、V字型,逆V字型で折ったんだけど、まずV字型に折る時に腹の蛇腹部分がどんどん突出して折にくいことこの上なかった。Twitterで知り合った方は、腹部をまたいで一方向に斜めのジャバラを折り出し、その後でこれに直行するように斜めのジャバラを折っていた。

部分折りで比べてみることにした





左がTwitterで知り合った方,右が僕の折り方のイメージ。見た目は右側の方が整ってるように見えるが、どうせ1枚づつの鱗に折り直すので、そんなことはどうでもいい

部分折りで比べてみたところ、周辺部の拘束がないため極端な差はなかったが、僕の折り方よりも折り方が自然で、用紙の一部が極端に歪むこともないので、圧倒的に折りやすいことが判った。これから挑戦する人は、ぜひこちらの手順でどうぞ。




龍神3.5 全体折り (5) : Ryujin 3.5 Entire fold (5)

脚部を折り出したら、胴体部のジャバラを折り畳んでいく。ジャバラ部はいきなり192分割の幅で折り畳むのではなく、その2倍および4倍の幅で下図上側のように互い違いに折り畳む。破線の間隔が192分割の幅である。この際、胴体鱗部から内部構造への遷移部では、一時的に展開図にはない折線で折ることになる。いや、鱗部全体がそうなんだけど。


胴体部のジャバラは、まず上側のように192分割の2倍幅,4倍幅で互い違いに折り畳み、その後下側のように192分割幅,2倍幅で折り直す


192分割の2倍幅,4倍幅で互い違いに折り畳んでいる途中。肩‐脚部付近は分割幅の遷移が急なので、左側のような有様になってしまった。肩‐脚部とバランスとりながら折り進めればいいんだろうけど、初見ではこれが精一杯だったよ

胴体部ジャバラの互い違い折りを終えたところ。上のシッチャカメッチャカな状態からこうなるんだよなあ

肩‐脚部からの遷移部。きっと、簡単に折る手順があるんだろうけど、展開図から無理やり折ってるもんで、ここも本当に難しかった(だが、それがいい)


2019年6月25日火曜日

龍神3.5 全体折り (4) : Ryujin 3.5 Entire fold (4)

上半身では途中の折りを省略してしまったので、その分下半身でじっくりと各部の折り出しを書いていく。

(ちょっと忙しいので休筆中。年明けくらいから再開しようかね)

(といいつつ、2020年4月5日)

いやー、なかなかきっかけが掴めなかったので、結局新年度が始まってからになってしまったけど、ぼちぼち再開しよう。

下半身を折る戦略としては、部分折りで一番難しいと感じた肩‐脚部から折り出し、その後、胴体鱗部分のジャバラ折り,鱗の折り出し,尾部の折り出し、と進めることにした。


肩‐脚部の折りはじめ。クリップで留めながらジャバラを折っていく



写真の上下方向が胴体の前後方向だが、ジャバラの上下に後ろ脚が一本ずつ配置されている。ここまでの写真は裏側から撮ったもの




肩‐脚部の鱗部の斜め格子折りまで終わったところ。背びれはまだ折り出していない。この写真は表側から撮ったもので、写真の左右方向が胴体の前後方向になっている

背びれを折り出してから、脚部の折り出しに取り掛かる。紙の縁側にある脚(写真下側の方)はまだしも、内側にある脚は周囲も折りたたみながらの作業になるためかなり難しい。脚を折り出す途上で肩部の前後(写真鱗部の左側に注目)でジャバラの数を急激に遷移させなければならないが、ここも難易度が高いので、部分折りしたパーツと見比べながら折り進めると良い


用紙内側の脚の折り出しは特に難易度が高いので、部分折りしたパーツと見比べながら折り進めると良い

脚を二本とも折り出したところ。この時点であれば、裏側に多少なりとも手が回るので、鱗も一枚ずつ折り出しておく


2019年6月23日日曜日

龍神3.5 全体折り (3) : Ryujin 3.5 Entire fold (3)

上半身は頭部から折り始めてグダグダになってしまった(理由は後述)ので、途中の折りは下半身の方で解説するとして、ここでは省略。

上半身を展開図折りで折れるところまで折ると、下の写真のようになる(頭部は仕上げてしまっているけど無視してね)。鱗は沈め折りまではしていないが、1枚ずつ折り出すところまで進めている。ここで注目してほしいのは、胴体が真っすぐではなく背びれ側が膨らむように湾曲していること。

上半身を展開図まで折り進めたところ
鱗を折り出す際のずれにより背びれ側が膨らんでいる


斜め格子の重ね折りで構成された鱗部を1枚ずつの鱗に折り直す際に、微小なずれが発生するが、背びれ側と反対側でずれ具合が異なるために全体的に湾曲してしまう。鱗の両側を沈め折りすると湾曲はさらに大きくなる。胴体を整形するためには背びれ側の長さを反対側に合わせなければならないが、湾曲が大きい場合には鱗部分が凸凹に波打ったようになって見映えが悪くなる。これを回避するためには、斜め格子折りの時点で逆に湾曲するくらいに詰め気味に折っておくか、1枚ずつの鱗を折り出した後に鱗部をずらせるように押さえて折りグセを付けておく。鱗両側の沈め折りをしてしまってからでは修正は難しい。

鱗は下側(尻尾側)から上側(頭側)に向かって折り出していくと折りやすい。これは、鱗の下側は浮き出しているが上側は一つ上の列の鱗の下に潜り込んでおり、上の列の鱗が出来上がってしまっていると作業の自由度が小さくなるため。下の写真では、左側から「斜め格子状に鱗部分を重ね折り」「重ね折りをばらして鱗1枚ずつに分離」「鱗の両側を沈め折りして完成」の状態になっているが、上記の通り、沈め折りまで一度に折るのではなく、まずは全体の重ね折りをばらして鱗1枚ずつに分離しておいてから胴体の湾曲の修正をしておこう。


鱗を折り出す様子。右端は背びれ4枚分で下半身側と重なる

鱗全体を沈め折りまで完成したら、この段階で鱗部の要所を糊付けしておく。僕は胴体全体の湾曲を矯正するために、背びれ部と腹部を糊付けしたけど「腹の蛇腹は隙間空いてる方が好き」という人もいるかもね。


上半身の鱗完成。少し波打っているのが判る

頭-首部の180度反転は、折り方自体はそれほど難しくないが、なにしろ折る部分の厚みが半端ではないので、他の部分を折り進める前に折れそうかどうか確認しておこう。

頭部は上下反転した状態で首部と繋がっている

上下反転の簡略図


赤本の説明を参考にジャバラ部で180度反転させる

ジャバラ部を1回斜め折りするだけで1マス分使っている


理屈通りなら、ジャバラ部の幅と同じ96分割1マス分(正確には2マス分を折り込んで1マスにする)で反転できるが、重ね折りした厚みの影響で3マス分くらいは必要。実際に180度反転した状態を維持するためには反転した重ね折り部分を1枚ずつ丁寧に糊付けする必要があるが、この段階では「反転できそうなこと」と「鱗を巻いて胴体を作るときの頭部との接続部の折り込み方」を確認しておけばよい。


鱗を巻いて胴体を成型してみたところ。背びれ部分を閉じてみてそれなりの形になっていればOK



2019年6月22日土曜日

龍神3.5 全体折り (2) : Ryujin 3.5 Entire fold (2)

さてさて、ここからは本当に本番の全体折りだ。正確には上半身,下半身の半分ずつなんだけど、折りの難易度にはほぼ関係ないので良しとする。

ここまでの記事でも書いたけど、使った紙は両更クラフト紙(50g/m2)の92cm幅ロール紙で、ここから90cm×180cmの用紙を2枚切り出して全体とする。これを、基本となる48×96分割で折り筋を付ける。折り筋をつける時は何枚分かを重ねて折るのではなく、1枚分ずつ正確に折っていこう。


90cm×180cmの用紙を12×24分割まで折ったところ。真ん中に置いているのは見開きにした新聞

48×96の折り筋を付けたら、用紙の裏面に展開図を反転して書き込む。多色のフリクションボールが便利

折り筋を付け終わったところ。表側から見ているので書き込んだ線は見えない


上半身,下半身の2枚に折り筋を付けるだけでも結構大変。もしかしたら「鱗とか同じパターンの繰り返しだし、そもそも最終の折り筋と違うんだから、そんなにきっちり折らなくてもいいんじゃないの」と思うかもしれないが、そういう考えは捨てよう。まあ、超複雑系を折ったことのある人や、鱗の部分折りをきちんと練習した人なら判るとおもうけど。


吉澤章作品より (かめん):Pick up from YOSHIZAWA Akira works (Mask)

 2年半ぶりに 連投。吉澤章さん「折り紙通信」より「かめん」。仮面と言いつつ、これは顔です。僕には吉澤さんご自身の顔に思えるんだけど。 現代折り紙において顔の折り出しに拘っている折紙作家として北條高史さんが真っ先に思い浮かぶけど鼻や口の造形に近いものを感じる。北條さんよりはだいぶ...